ウェブテキスト 労働基準法2
労働基準法1

労働基準法1・2・345
法令参照(総務省e-Gov)

総則 ★
◆ 労働条件の原則 (1条

 労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。
 この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。

◆ 労働条件の決定 (2条
@ 労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである。
A 労働者及び使用者は、労働協約、就業規則及び労働契約を遵守し、誠実に各々その義務を履行しなければならない。

労働基準法>労働協約>就業規則>労働契約

◆ 均等待遇 (3条
 使用者は、労働者の国籍信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない
賃金、労働条件その他の労働条件とは、
  賃金、労働条件、
解雇災害補償安全衛生寄宿舎等に関することである。
上記のほか、労働組合員は労働組合法で、男女差別は、男女雇用機会均等法で差別禁止。

判例  使用者は、労働者雇入れの自由を有するから、その者の思想、信条を理由として採用を拒否することも許される(最S48.12.12)。
 ※雇入れは一般的に労働条件ではないと解されている。


◆ 男女同一賃金の原則 (4条
   使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない。
賃金差別は労基法で禁止。他の労働条件は男女雇用機会均等法の定めによる。


◆ 賃 金 (11条
賃金= 賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。
   ■ 賃金とならないもの [通達より抜粋]
結婚祝金、死亡弔慰金、災害見舞金等の恩恵的給付(原則※1)
臨時に支払われる物その他の利益
祝祭日、会社の創業記念日又は労働者の個人的吉凶禍福に対して支給されるもの(原則※2)
チップ(原則※3)
制服、作業衣等業務上必要の被服の貸与
法定額(60/100)を超えて支給される休業補償費
役員交際費
福利厚生のために使用者が負担する生命保険料等補助金
ストックオプション制度から得られる利益
※1 恩恵的なものでも、労働協約、就業規則、労働契約等により、予め支給条件が明確である場合は賃金。
※2 支給されるものが労働者の自家消費を目的とせず明らかに転売による金銭の取得を目的とするものや
   労働協約によらないが前例若しくは習慣によ慣習によってその支給が期待されている貨幣賃金の代わり
   に支給されるものは賃金とみる。
※3 無償あるいはきわめて低廉な価格で食事の供与を受け又は宿泊を許されている場合には、かかる実物
   給与及び利益は賃金である。


◆ 平均賃金 (12条
平均賃金=算定事由発生日以前3箇月間に支払われた賃金の総額÷算定事由発生日以前3箇月間の総日数 ・算定事由発生日の前日から起算
・賃金締切日がある場合は
直前の締切日から起算
・算定の結果金額に銭位未満の端数が生じた場合は切り捨て
■ 平均賃金の算定から控除するもの
算定期間中の総日数と賃金の総額の両方から控除するもの (法12-3)
1 業務上負傷し、又は病気にかかり療養のために休業した期間 ・・・通勤災害は控除しない
2 産前産後の女性が法65条の規定によって休業した期間
3 使用者の責めに帰すべき事由によって休業した期間
4 法律に基づく育児休業期間又は介護休業期間
5 試みの使用期間
算定期間中の賃金の総額のみから控除するもの (法12-4)
1 臨時に支払われた賃金
2 3箇月を超える期間ごとに支払われる賃金
3 通貨以外のもので支払われた賃金

通達 ・臨時に支払われた賃金とは、臨時的突発的事由に基づいて支払われたもの及び結婚手当等支給条件は予め確定されているが、支給事由の発生が極めて不確定であり、かつ非常に稀に発生するもの(S22.9.13発基17)。
年次有給休暇の賃金及びその日数は本条第1項本文の賃金総額及び期間に含む(S22.11.5基発231)。
通勤手当は平均賃金算定の基礎に算入する(S22.12.26基発573)。
・一労働日中一部休業があった場合、その日を休業日とみなし、その日及びその日の賃金を共に控除する(S25.8.28基収2397)。



労働契約 ★★★

◆ この法律違反の契約 (13条
 この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となつた部分は、この法律で定める基準による。 労基法に達しない労働契約はその部分が無効となり、労基法水準に引き上げられる。


◆ 契約期間等 (14条 重要ポイント
 労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、3年(次の各号のいずれかに該当する労働契約にあつては、5年)を超える期間について締結してはならない。
1  専門的な知識、技術又は経験(以下この号において「専門的知識等」という。)であつて高度のものとして厚生労働大臣が定める基準(下記)に該当する専門的知識等を有する労働者(当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者に限る。)との間に締結される労働契約
2  満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約(前号に掲げる労働契約を除く。)

厚生労働大臣が定める基準(H15.10.22厚労省告示356)
 1 博士の学位を有する者
 2 次のいずれかの資格を有する者
  イ 公認会計士  ロ 医師  ハ 歯科医師  二 獣医師  ホ 弁護士  へ 一級建築士  ト 税理士
  チ 薬剤師  
リ 社会保険労務士  ヌ 不動産鑑定士  ル 技術士  ヲ 弁理士
 3 システムアナリスト試験、アクチュアリーに関する資格試験合格者
 4 特許発明の発明者、登録意匠を創作した者、種苗法に規定する登録品種を育成した者
     5、6 省略

厚生労働大臣: 使用者が講ずべき労働契約の期間の満了に係る通知に関する事項その他必要な事項についての基準を定めることができる。
行政官庁: 期間の定めのある労働契約を締結する使用者に対し、必要な助言及び指導を行うことができる。

過去問 〔H19〕
 
ある使用者が、その期間が3か月の労働契約を2回更新し、3回目を更新しないこととした。その場合には、労働基準法第14条第2項の規定に基づく「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」によれば、少なくとも当該契約の期間の満了する日の30日前までに、その予告をしなければならない。  有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準(H15.10.22厚労告357)

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◆ 労働条件の明示 (15条
 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。

絶対的明示事項 相対的明示事項

厚生労働省令で定める事項・・・絶対的明示事項から「昇給」を除いた事項
厚生労働省令で定める方法・・・書面の交付


◆ 解雇制限(19条) 重要ポイント
■ 解雇の制限期間
@ 労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間
A 産前産後の女性が第65条(産前産後)の規定によって休業する期間及びその後30日間

通達 業務上負傷し又は疾病にかかり療養していた労働者が完全に治癒したのではないが、労働し得る程度に回復したので出勤し、元の職場で平常どおり労働していたところ、使用者が就業後三〇日を経過してこの労働者を二〇条に定める解雇予告手当を支給して即時解雇した場合は本条に抵触しない(昭和24.4.12基収1134)。

■ 解雇制限の例外
@ 第81条の規定によつて打切補償を支払う場合
  ・・・療養開始後
3年を経過しても負傷又は疾病がなおらない場合に、平均賃金の1200日分の打切補償
A 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合
          ↓                        ↓
       火災、天災(地震)           事業の一部縮小や一時休止は該当しない
  ・・・その事由について行政官庁(所轄労働基準監督署長)の認定が必要

通達 事業の継続が不可能となった場合」とは事業の全部又は大部分の継続が不可能となった場合をいう。一般に事業経営上の見通しの齟齬の如き事業主の危険負担に属すべき事由は「やむを得ない事由」に該当しない(昭和63.3.14基発150)。


◆ 解雇予告(20・21条) 重要ポイント
@ 少なくとも30日前の解雇予告  ※ 30日は労働日ではなく暦日
A 平均賃金の30日分の解雇予告手当の支払い      ※ @とAの併用可能
 
■ 解雇予告の例外
1 解雇予告が必要ないケース
@ 天災事変等で廃業する場合 → 労働基準監督署長の認定 → 即時解雇
A 労働者の責に帰すべき事由 → 労働基準監督署長の認定 → 即時解雇
2 解雇予告の適用除外
適用除外の対象
@ 
日日雇い入れられる者
A 
2箇月以内の期間を定めて使用される者
B 
季節的業務に4箇月以内の期間を定めて使用される
  者
C 
使用期間中の者
 解雇予告が必要となる場合
・・・1箇月を超えて引き続き使用されるに至った場合
・・・所定の期間を超えて引き続き使用されるに至った場合
・・・所定の期間を超えて引き続き使用されるに至った場合
・・・14日を超えて引き続き使用されるに至った場合

■ 解雇予告手当など
賃金に準じた扱いをする。−−−直接払い、通貨払いの原則
解雇通告と同時に支払われなければならない(昭和23.3.17基発464)。
予告期間満了後引き続き使用する場合は再び解雇予告等の手続きが必要(昭和24.6.18基発1926)。



賃金 ★★
◆ 賃金の支払い(24条) 重要ポイント
原則

 賃金支払いの5原則
例外
■ 通貨払い
 @ 法令に別段の定めがある場合・・・実物給与も可
 A 労働協約による場合・・・実物給与も可(労働組合がある場合)
 B 退職手当・・・一定の小切手も可
 C 口座振込み・・・労働者個々人の同意、本人の指定する口座
              賃金支払い当日に払い出せる
■ 全額払い
 @ 法令に別段の定めがある場合・・・税、社会保険料
 A 労使協定・・・組合費、社内預金など
■ 毎月1回以上払い
 @ 賞与
 A 臨時に支払われる賃金
 B 賞与に準ずるもの

通達 ・賞与とは定期又は臨時に労働者の勤務成績に応じて支給されその額が予め定められていないものをいう(昭和22.9.13基発17)。
・「労働協約」とは
労働組合法上の労働協約を指す(昭和63.3.14基発150)。
・通勤定期券は法第11条の賃金であり、また、6ヵ月定期乗車券であってもこれは各月分の前渡しと解す(昭和25.1.18基収130、33.2.13基発90)。
・賃金受領に関する委任、代理等の法律行為は無効、ただし使者に支払うことは差し支えない(昭和63.3.14基発150)。

過去問 〔H14〕
 労働基準法第24条第1項においては、賃金は、通貨で支払わなければならないと規定されているが、同項ただし書において、法令に別段の定めがある場合、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合
、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払うことができると規定されている。 誤  法24条1項、上記通達(昭和63.3.14基発150)


◆ 休業手当(26条) 重要ポイント
使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。

通達 ・休業期間中に労働協約、就業規則、労働契約により休日と定められている日がある場合、右休日については、休業手当支払義務は生じない(昭和24.3.22基収4077)。
・親会社の経営難から下請工場が資材資金を獲得できず休業した場合は、休業手当支払義務がある(昭和23.6.11基収19)。
・労働組合が争議行為をしたことにより、同一事業場の当該労働組合員以外の労働者の一部が労働を提供しえなくなった場合に、その程度に応じて労働者を休業させることはさしつかえないが、その限度を超えて休業させた場合には、その部分については、使用者の責に帰すべき事由に該当する(昭和24.12.2基収3281)。


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