ウェブテキスト 労災保険法2
労災保険法1

労災保険法1・2・345番外(業務災害と通勤災害)
法令参照(総務省e-Gov)

◆ 目 的 (1条
 労働者災害補償保険は、業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に対して迅速かつ公正な保護をするため、必要な保険給付を行い、あわせて、業務上の事由又は通勤により負傷し、又は疾病にかかった労働者の社会復帰の促進、当該労働者及びその遺族の援護労働者の安全及び衛生の確保等を図り、もって労働者の福祉の増進に寄与することを目的とする。


◆ 適用事業 (3条
■ 適用事業 労働者を使用する事業は、適用除外、暫定任意適用事業に該当する場合を除き、すべて適用事業(強制適用事業)となる。
■ 適用除外 @ 国の直営事業  ・・・国有林野の事業
A 官公署の事業(労基法別表1を除く)  ・・・非現業の官公署(事務部門)の事業
B 船員保険の被保険者
  ※但し、疾病任意継続被保険者は適用除外とならない。
■ 暫定任意
  適用事業
@ 農業  常時5人未満の労働者を使用する個人経営の事業
       但し、(ア)一定の危険又は有害な作業を主として行う事業、(イ)事業主が特別加入して
       いる事業は強制適用事業となる。
A 林業
B 水産業


◆ 保険給付の種類等 (7条
■ 保険給付(7) ・労働者の業務上の負傷、疾病、障害又は死亡に関する保険給付・・・業務災害
・労働者の通勤による負傷、疾病、障害又は死亡に関する保険給付・・・
通勤災害
・二次健康診断等給付
通勤とは、労働者が、就業に関し、次に掲げる移動を、合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除くものとする。
・住居と就業の場所との間の往復
・就業の場所から他の就業の場所への移動
・往復に先行し、又は後続する住居間の移動
労働者が、移動の経路を逸脱し、又は移動を中断した場合においては、当該逸脱又は中断の間及びその後の移動は、通勤としない。ただし、当該逸脱又は中断が、日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合は、当該逸脱又は中断の間を除き、この限りでない。
【日常生活上必要な行為】
1 日用品の購入その他これに準ずる行為
2 職業訓練、学校において行われる教育その他これらに準ずる教育訓練であつて職業能力の
 開発向上に資するものを受ける行為
3 選挙権の行使その他これに準ずる行為
4 病院又は診療所において診察又は治療を受けることその他これに準ずる行為
5 要介護状態にある配偶者、子、父母、配偶者の父母並びに同居し、かつ、扶養している孫、
 祖父母及び兄弟姉妹の介護(継続的に又は反復して行われるものに限る。)


◆ 給付基礎日額 (8条
■ 算定事由発生日
@ 負傷もしくは死亡の原因である事故が発生した日
A 診断によって疾病の発生が確定した日
   上記@又はAの日となる。
■ 給付基礎日額の原則
 労働基準法第12条の平均賃金に相当する額を給付基礎日額とすることが適当でないと認められるときは、厚生労働省令で定めるところによって所轄労働基準監督署長が算定する額を給付基礎日額とする。
■ 給付基礎日額の特例
@ 平均賃金の算定期間中に業務外の事由による負傷又は疾病の療養のために休業した期間がある場合
 次のアの金額がイの金額に満たない場合はイの金額
 ア 労基法上の平均賃金に相当する額
 イ 業務外の事由による負傷又は疾病(私傷病)の療養のために休業した期間及びその期間中に受けた賃金額
  を平均賃金の算定期間及びその期間中の賃金から控除して算定した平均賃金に相当する額
則9-1-1
A じん肺患者の場合
 次のアの金額がイの金額に満たない場合はイの金額
 ア 労基法上の平均賃金に相当する額
 イ じん肺にかかったため粉じん作業以外の作業に常時従事することとなった日(転換日)を算定事由発生日
  とみなして算定することとした平均賃金に相当する額
  則9-1-2

B @、Aに定めるほか、平均賃金に相当する額を給付基礎日額とすることが適当でないと認められる場合には、厚生労働省労働基準局長が定める基準に従って算定する額
■ 自動変更対象額の適用(則9-1-4)
@ 平均賃金に相当する額又は前記@、Aに定めるところによって算定された額が4,180円(自動変更対象額)に満たない場合には、自動変更対象額とする。
A 平均賃金相当額が4,180円未満であっても、その額にスライド率を乗じて得た額が4,180円以上であるときは、スライド前の給付基礎日額は平均賃金相当額である。
B 平均賃金相当額にスライド率を乗じて得た額が4,180円に満たないときは、スライド前の給付基礎日額は、スライド前の給付基礎日額は、スライド後の給付基礎日額が4,180円になるように、4,180円をスライド率で除して得た額(1円未満切捨て)である。
■ 自動変更対象額の変更(則9-2)
  厚生労働大臣は、年度の平均給与額が、直近の当該変更がされた年度の前年度の平均給与額を超え、又は下るに至った場合においては、その上昇し、又は低下した比率に応じて、その
翌年度の8月1日以後の自動変更対象額を変更しなければならない。
 ・平均給与額=厚生労働省において作成する毎月勤労統計における労働者一人当たりの毎月きまって支給する
  給与の額の4月分から翌年3月分までの各月分の合計額を12で除して得た額
■ 自動変更対象額(最低保障額)の端数処理(則9-3)
   5円未満切り捨て、5円以上10円未満の端数は10円に切り上げ
■ 自動変更対象額の告示変更(則9-4)
   厚生労働大臣は、自動変更対象額を変更するときは、変更する年度の
7月31日までに告示

過去問 〔H19〕
 
給付基礎日額は、労働基準法第12条の平均賃金に相当する額とされているが、この場合において、同条第1項の平均賃金を算定すべき事由の発生した日は、業務上の事由又は通勤による負傷、疾病、障害若しくは死亡の原因である事故の発生した日とされる。
 
 発生した日だけではなく、発生した日又は診断によって疾病の発生が確定した日(法8条1項)


◆ 休業給付基礎日額 (8条の2
休業(補償)給付の算定の基礎となる給付基礎日額を休業給付基礎日額という。
■ スライド制
   
四半期ごとの平均給与額が、算定事由発生日の属する四半期(以前にスライド制が適用されている場合には、直
  前のスライド改定時の四半期の前々四半期)の平均給与額の100分の110を超え、又は100分の90を下回るに至っ
  た場合は、その上昇し、又は低下した比率を基準として厚生労働大臣が定める率(スライド率)を給付基礎日額(以
  前にスライドが適用されている場合には、
スライド後の額)に乗じて得た額が休業給付基礎日額となり、平均給与額
  が10%を超えて変動した四半期の
翌々四半期の最初の日から改定される。
  ・四半期:1月〜3月、4月〜6月、7月〜9月、10月〜12月
  ・休業給付基礎日額のスライド制では、以前にスライド制が適用されている場合には、前回のスライド後の休業給付
   基礎日額(改定日額)に新たなスライド率を乗じる。

   改定された休業給付基礎日額についても。その後さらに改定の基礎となった四半期と比較して平均給与額が10%
  を超えて変動した場合には、同じ方法によってスライド制が適用される。
休業給付基礎日額のスライド制

■ 休業給付基礎日額に係る年齢階層別の最低・最高限度額
   
療養を開始した日から起算して1年6箇月を経過した者に対する休業(補償)給付に係る休業給付基礎日額につい
  ては、年齢階層別の最低・最高限度額が適用される。
   ・年齢階層別の最低・最高限度額:毎年、前年の
賃金構造基本統計の調査の結果に基づき定められ、その年の
    8月1日から翌年の7月31日までの間適用される。
■ 年齢階層別の最低・最高限度額の基準となる年齢  →  四半期の初日における年齢

過去問 〔H19〕
 
休業補償給付又は休業給付(以下この問において「休業補償給付等」という。)の額の算定に用いられる給付基礎日額には、原則として、労働基準法第12条の平均賃金に相当する額が用いられるが、休業補償給付等を支給すべき事由が生じた日が当該休業補償給付等に係る療養を開始した日から起算して1年6か月を経過した日以後の日である場合において、四半期(1〜3月、4〜6月、7〜9月、10〜12月)ごとの毎月勤労統計たおける労働者1人当たりの平均給与額が休業補償給付等の算定事由発生日の属する四半期の平均給与額(「毎月きまって支給する給与」の1か月平均額)の100分の110を超え、又は100分の90を下るに至ったときは、その上昇し、又は低下するに至った四半期の翌々四半期の初日以後に支給事由が生じた休業補償給付等については、その上下した数値を労働基準法第12条の平均賃金に相当する額に乗じてスライドさせた額が給付基礎日額として用いられる。
 
 設例の休業給付基礎日額の適用にあたっては、1年6か月という要件はない。スライドについては、四半期ごとの平均給与額が、算定事由発生日の属する四半期の平均給与額の10%を超えて上下した場合に上下した比率を基準として厚生労働大臣が定める率(スライド率)を平均賃金に相当する額に乗じてスライドさせた額が給付基礎日額として用いられる。(法8条の2第1項)


◆ 年金給付基礎日額 (8条の3
年金たる保険給付の算定の基礎となる給付基礎日額を年金給付基礎日額という。
■ スライド制が適用されない場合
   算定事由発生日の属する年度の
翌々年度の7月以前の分として支給される年金たる保険給付には、スライド制
  が適用されず、給付基礎日額がそのまま年金給付基礎日額となる。
■ スライド制
   算定事由発生日の属する年度の
翌々年度の8月以後の分として支給される年金たる保険給付については、
  支給すべき月の属する年度の前年度(4月から7月までの月分については前々年度)の平均給与額を算定事由
  発生日の属する年度の平均給与額で除して得た率を基準として厚生労働大臣が定める率(スライド率)を給付基礎
  日額に乗じることにより年金給付基礎日額を改定する。 ・・・
完全自動賃金スライド制
   ・スライド制では、以前にスライド制が適用されている場合でも、スライド前の給付基礎日額(算定事由発生日の
    属する年度の給付基礎日額)にスライド率を乗ずる。
年金給付基礎日額のスライド制

■ 年金給付基礎日額に係る年齢階層別の最低・最高限度額
   
年金が支給された月から適用される。
■ 年齢階層別の最低・最高限度額の基準となる年齢
@ 障害(補償)年金・傷病(補償)年金
被災労働者の8月1日における年齢が、同日から1年間適用される。
A 遺族(補償)年金の場合
支給事由である死亡に係る労働者(被災労働者)が生存していると仮定したときの8月1日の年齢

過去問 〔H19〕
 
年金たる保険給付の額の算定に用いられる給付基礎日額には、原則として、労働基準法第12条の平均賃金に相当する額が用いられるが、毎月勤労統計における労働者1人当たりの平均給与額が給付基礎日額の算定事由発生日の属する年度(4月から翌年3月まで)における平均給与額の100分の110を超え、又は100分の90を下るに至った場合は、その上下した比率を基準として厚生労働大臣が定める率を労働基準法第12条の平均貸金に相当する額に乗じてスライドさせた額が、算定事由発生日の属する年度の翌々年度の8月以降の給付基礎日額として用いられる。
 
 設例の年金給付基礎日額の改定は、完全自動賃金スライド制が採用されており、支払い対象月の属する年度の平均給与額が算定事由発生日の属する年度の平均給与額の10%を超えて上下した場合であると否とにかかわらず、スライド率を平均賃金に相当する額に乗じてスライドさせた額が算定事由発生日の属する翌々年度の8月以降の給付基礎日額として用いられる。(法8条の3第1項)


◆ 一時金の給付基礎日額 (8条の4、附則58〜63条)
障害(補償)一時金
障害(補償)年金差額一時金
障害(補償)年金前払一時金
遺族(補償)一時金
遺族(補償)年金前払一時金
葬祭料(葬祭給付)

の額の算定の基礎として用いる給付基礎日額
     ↓
年金たる保険給付と同様のスライドが行われる
※一時金の給付基礎日額には年齢階層別の最低・最高限度額の適用がない。

過去問 〔H19〕
 
障害補償一時金若しくは障害一時金又は遺族補償一時金若しくは遺族一時金の額の算定に用いる給付基礎日額のスライドは、年金たる保険給付の額の算定に用いる給付基礎日額のスライドに準ずる。
 
 (法8条の4)


◆ 給付基礎日額の端数処理 (8条の5
給付基礎日額に1円未満の端数があるときは、1円に切り上げる。


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