ウェブテキスト 労災保険法3
労働基準法1

労災保険法12・3・45番外(業務災害と通勤災害)
法令参照(総務省e-Gov)

◆ 療養補償給付 (13条) ★★★
<原則> 療養の給付(現物給付)
<例外> 療養の費用の支給(現金給付)
■ 療養の給付の範囲
@ 診察
A 薬剤又は治療材料の支給
B 処置、手術その他の治療
C 居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護
D 病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護
E 移送
■ 療養の費用の支給
   療養の給付をすることが
困難な場合や療養の給付を受けないことについて労働者に相当の理由がある場合には、
  療養の給付に代えて療養の費用を支給
■ 給付期間
   傷病が
治癒するか死亡するまで
■ 受給手続
@ 療養補償給付たる療養の給付の請求
 療養補償給付たる療養の給付を受けようとする者は、労働者の氏名、生年月日及び住所等の事項を記載した請求書を、指定病院等(病院、診療所、薬局又は訪問看護事業者)を経由して所轄労働基準監督署長に提出する。
A 療養補償給付たる療養の費用の請求
 療養補償給付たる療養の費用の支給を受けようとする者は、労働者の氏名、生年月日及び住所等の事項を記載した請求書を、所轄労働基準監督署長に提出する。

請求書の記載必要事項
1
労働者の氏名、生年月日及び住所
2
事業の名称及び事業場の所在地
3
負傷又は発病の年月日 事業主の証明
4
災害の原因及び発生状況 事業主の証明
5
傷病名及び療養の内容 医師その他の診療、薬剤の支給、手当又は訪問看護を担当した者(以下「診療担当者」という。)の証明
6
療養に要した費用の額 医師その他の診療、薬剤の支給、手当又は訪問看護を担当した者(以下「診療担当者」という。)の証明
7
療養の給付を受けなかった理由
※看護(病院又は診療所の労働者が提供するもの及び訪問看護を除く。)又は移送に要した費用の額については、この限りでない。
※指定病院等
  ア.
社会復帰促進等事業(29条1項)として設置された病院若しくは診療所(労災病院)
  イ.
都道府県労働局長の指定する病院若しくは診療所、薬局若しくは訪問看護事業者(居宅を訪問することによる
    療養上の世話又は必要な診療の補助の事業を行う者)

過去問 〔H19〕
1 療養の給付は、労災保険法第29条第1項の事業として設置された病院若しくは診療所又は都道府県労働局長の
 指定する病院若しくは診療所、薬局若しくは訪問看護事業者において行われる。

  正 (法13条1項・2項、則11条1項)


2 業務上の傷病について、労働基準法は、使用者がその費用で「必要な療養」を行い、又は「必要な療養の費用」
労働者の死亡当時、その者と
生計を同じくしていた を負担しなければならないとし、その「療養の範囲」として、労働基準法施行規則は具体的な療養項目のうち「療養
 上相当と認められるもの」と定めており、これに対応して、労災保険法は、療養補償給付たる「療養の給付」の範囲
 として、同様な療養項目のうち「政府が必要と認めるものに限る」と定めている。
 
 正 (13条2項、労基75条1項、労基則36条)        

3 療養の給付をすることが困難な場合のほか、療養の給付を受けないことについて労働者に相当の理由がある
 場合には、療養の給付に代えて療養の費用が支給される。
  正 (13条3項、則11条の2)

4 療養補償給付たる療養の費用の支給を受けようとする者は、所定の事項を記載した請求書を所轄労働基準監督
 署長に提出しなければならないが、その場合に、負傷又は発病の年月日、傷病の発生状況等をはじめ、傷病名及
 び療養の内容並びに療養に要した費用(病院又は診療所の労働者が提供する看護及び訪問着護又は移送に要
 した費用を除く。)の内容について、医師その他の診療担当者の証明を受ける必要がある。
 
 誤 移送に要した費用の額についてはね医師その他の診療担当者の証明不要(13条3項、則12条の2)


◆ 休業補償給付 (14条) ★★★
■ 支給要件
   次の@〜Bのすべてに該当すること
@ 業務上の負傷又は疾病により療養していること。
A 療養のため労働することができないこと。
B 労働することができないために賃金を受けないこと。
■ 支給額
   1日につき、
給付基礎日額の100分の60に相当する額
  ただし、
所定労働時間のうち一部分についてのみ労働する日に係る休業補償給付の額は、給付基礎日額から当該
 労働に対して支払われる賃金の額を控除して得た額(当該控除して得た額が最高限度額を超える場合にあっては、
 最高限度額に相当する額)の100分の60に相当する額
■ 支給期間
   休業した日の
第4日目から療養のため休業を要する期間支給される。
  休業初日から
3日間は待機期間となり、この間は事業主が労基法76条の休業補償
■ 支給制限
   労働者が次の各号のいずれかに該当する場合(厚生労働省令で定める場合に限る。)には、休業補償給付は、
  行わない。
   1 刑事施設、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されている場合
   2 少年院その他これに準ずる施設に収容されている場合

    厚生労働省令で定める場合
 懲役、禁錮若しくは拘留の刑の執行のため若しくは死刑の言渡しを受けて刑事施設(少年院において刑を執行する場合における当該少年院を含む。)に拘置されている場合若しくは留置施設に留置されて懲役、禁錮若しくは拘留の刑の執行を受けている場合、労役場留置の言渡しを受けて労役場に留置されている場合又は監置の裁判の執行のため監置場に留置されている場合
少年法の規定による保護処分として少年院若しくは児童自立支援施設に送致され、収容されている場合又は売春防止法の規定による補導処分として婦人補導院に収容されている場合

通達 (休業補償と3日間の待機期間)
休業補償給付は、継続すると断続しているとを問わず実際に休業した日の第4日目から支給するのである。したがって、休業が8日をこえる場合にも、休業の最初の3日間については休業補償給付は支給されない。休業の最初の3日間については、労働基準法の規定により事業主が補償をすることを要する(S40.7.31基発901)。
(休業日数のとり方)
・所定労働時間中に負傷した場合のみ、負傷当日を休業日数に算入する。所定労働時間外の残業中に負傷した場合は、負傷当日は休業日数に算入しない(S27.8.8基収3208)。
(休業補償給付の支給について)
1 負傷又は疾病が、当日の所定労働時間内に発生し、所定労働時間の一部について労働することができない場合については、平均賃金と実労働時間に対して支払われる賃金との差額の100分の60維持用の金額が支払われているときであっても、新法施行通達により「特別の事情がない限り、休業補償が行われたものとして取扱う」こととなるので、その日は「休業する日」となるものであること
2 通院等のため所定労働時間の一部について労働することができない場合で、平均賃金と実労働時間に対して支払われる賃金との差額の100分の60未満の金額しか支払われていないときには、その日は「休業する日」として取扱うこと。
 なお、当該差額の100分の60以上の金額が支払われている場合には、療養のため休業した最初の日から4日以降の日については、「休業する日」に該当しないものであるので念のため。
3 前記1及び2後段の場合で当該差額の100分の60以上の金額が支払われているとき並びに全部労働不能で平均賃金の100分の60以上の金額が支払われている場合であって、新法施行通達により、休業最初の3日間について休業補償が行われたものとして取扱うのは、賃金が月、週、日等の何れの期間によって定められていても、同様の取扱いとすること(S40.9.15基災発14)。
(健康保険法による傷病手当金と休業補償給付の関係)
・健康保険の被保険者が業務上の事由に因る負傷につき労災保険法による休業補償給付を受けている間に業務外の事由に因る疾病にかかり、その疾病の療養のためにも労働に服することができない場合においては、業務上の負傷に対する療養のため労務に服することができないと認められる期間中は休業補償給付は支給する。
 なお業務上の事由に因る疾病に罹病中他の疾病を併発した場合、その両疾病間に相当の因果関係があるときは後発疾病は業務上の疾病として取扱う(S23.7.13基収102)。

過去問 〔H18〕
  労働者が業務上の傷病の療養のため所定労働時間の一部分について労働することができない日に係る休業補償給付の額について、次の記述のうち正しいものはどれか。
 なお、この間において「給付基礎日額」とは、労働者災害補償保険法(以下「労災保険法」という。)第8条の2第2項第2号に基づき年齢階層ごとに休業給付基礎日額の最高限度額として厚生労働大臣が定める額(以下「最高限度額」という。)が給付基礎日額となる場合にあっては、同号の規定の適用がないものとした場合における給付基礎日額をいう。

A 当該労働日に所定労働時間労働した場合に受けるべき賃金額から実際に労働した部分についての賃金額を
 控除して得た額(当該控除して得た額が最高限度額を超える場合にあっては、最高限度額に相当する額)の
 100分の60に相当する額である。
  
 一部休業日にかかる休業補償の額は、「所定労働時間労働した場合に受けるべき賃金額」ではなく、「給付
    基礎日額」から実際に労働した部分についての賃金を控除した額の100分の60相当額(14条1項)


B 当該労働日に所定労働時間労働した場合に受けるべき賃金額(その額が給付基礎日額を超える場合にあっ
 ては、給付基礎日額)
から実際に労働した部分についての賃金額を控除して得た額(当該控除して得た額が最
 高限度額を超える場合にあっては、最高限度額に相当する額)の100分の60に相当する額である。
  
 (14条1項)

C 給付基礎日額から実際に労働した部分についての賃金額を控除して得た額(当該控除して得た額が最高限度
 額を超える場合にあっては、最高限度額に相当する額)の100分の60に相当する額である。
  
 (14条1項)

D 当該労働日に所定労働時間労働した場合に受けるべき賃金額又は給付基礎日額のいずれか高い額から実
 際に労働した部分についての賃金額を控除して得た額(当該控除して得た額が最高限度額を超える場合にあっ
 ては、最高限度額に相当する額)の100分の60に相当する額である。
  
 (14条1項)

E 給付基礎日額又は実際に労働した部分についての賃金額のいずれか高い療(その顧が最高限度額を超える
 場合にあっては、最高限度額に相当する額)
の100分の60に相当する額である。
  
 (14条1項)

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◆ 障害補償給付 (15条) ★★
障害補償給付は、厚生労働省令で定める障害等級に応じ、障害補償年金又は障害補償一時金とする。
障害等級 支 給 額 身  体  障  害





第1級 当該障害の存する期間1年につき
給付基礎日額の
313日
1 両眼が失明したもの
2 そしやく及び言語の機能を廃したもの
3 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、
常に介護を要するもの
4 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、
常に介護を要するもの
5 削除
6 両上肢をひじ関節以上で失ったもの
7 両上肢の用を全廃したもの
8 両下肢をひざ関節以上で失ったもの
9 両下肢の用を全廃したもの
第2級 277日 1 一眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になったもの
2 両眼の視力が
0.02以下になつたもの
2の2 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
2の3 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
3 両上肢を手関節以上で失ったもの
4 両下肢を足関節以上で失ったもの
第3級 245日 1 一眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの
2 そしやく又は言語の機能を廃したもの
3 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
4 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
5 両手の手指の全部を失ったもの
第7級 同131日分 1 一眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になったもの
2 両耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
2の2 一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
3 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
4 削除
5 胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
6 一手の母指を含み三の手指又は母指以外の四の手指を失ったもの
7 一手の五の手指又は母指を含み四の手指の用を廃したもの
8 一足をリスフラン関節以上で失ったもの
9 一上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
10 一下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
11 両足の足指の全部の用を廃したもの
12 女性の外貌に著しい醜状を残すもの
13 両側のこう丸を失ったもの
障害補償一時金 第8級 給付基礎日額の503日 1 一眼が失明し、又は一眼の視力が0.02以下になったもの
2 せき柱に運動障害を残すもの
3 一手の母指を含み二の手指又は母指以外の三の手指を失つたもの
4 一手の母指を含み三の手指又は母指以外の四の手指の用を廃したもの
5 一下肢を五センチメートル以上短縮したもの
6 一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
7 一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
8 一上肢に偽関節を残すもの
9 一下肢に偽関節を残すもの
10 一足の足指の全部を失つたもの
第14級 56日 1 一眼のまぶたの一部に欠損を残し、又はまつげはげを残すもの
2 三歯以上に対し歯科補てつを加えたもの
2の2 一耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
3 上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
4 下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
5 削除
6 一手の母指以外の手指の指骨の一部を失ったもの
7 一手の母指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの
8 一足の第三の足指以下の一又は二の足指の用を廃したもの
9 局部に神経症状を残すもの
10 男性の外貌に醜状を残すもの
       ※主要な部分のみ掲載

■ 併合
     障害等級表に掲げる身体障害が2以上ある場合には、重い方の身体障害の該当する障害等級による。


■ 併合繰上げ
1 第13級以上に該当する身体障害が2以上 重いほうを1級繰上げ
2 第8級以上に該当する身体障害が2以上 重いほうを2級繰上げ
3 第5級以上に該当する身体障害が2以上 重いほうを3級繰上げ
例外 障害等級が第8級以下である場合において、各の身体障害の該当する障害等級に応ずる障害補償給付の額の合算額が本文の規定による障害等級に応ずる障害補償給付の額に満たないときは、その者に支給する障害補償給付は、当該合算額による。
※9級(391日)+13級(101日)→8級(503日)となるが、合算額は492日となり492日分が支給される。

■ 加重
     既に身体障害のあった者が、負傷又は疾病により同一の部位について障害の程度を加重した場合に
    おける当該事由に係る障害補償給付は、現在の身体障害の該当する障害等級に応ずる障害補償給付
    とし、その額は、現在の身体障害の該当する障害等級に応ずる障害補償給付の額から、既にあった身体
    障害の該当する障害等級に応ずる障害補償給付の額を差し引いた額による。
1 加重前後の障害がともに第7級以上(年金)の場合
 
加重後の障害補償年金の額−加重前の障害補償年金の額
2 加重前後の障害がともに第8級以下(一時金)の場合
 加重後の障害補償一時金の額−加重前の障害補償一時金の額
3 加重前の障害が第8級以下(一時金)で、加重後が第7級以上(年金)の場合
 加重後の障害補償年金の額−加重前の障害補償一時金の額×1/25

■ 変更
     障害補償年金を受ける労働者の当該障害の程度に変更があったため、新たに別表第1又は別表第2中の
    他の障害等級に該当するに至った場合には、政府は、厚生労働省令で定めるところにより、新たに該当する
    に至った障害等級に応ずる障害補償年金又は障害補償一時金を支給するものとし、その後は、従前の障害
    補償年金は、支給しない。

過去問 〔H18〕
  障害補償年金は、業務上の傷病が治った場合において、当該労働者の身体に障害が残り、その障害の程度が障害等級第7級以上に該当するときに、支給される。
  
 (15条、別表第1)


◆ 障害補償年金前払一時金 (法附則59条)
 傷害補償年金の受給権者の請求に基づき、決定された障害補償等級によって定められた限度額の範囲内で、傷害補償年金前払一時金が支給される。
■ 支給額
   年金の受給権者が選択する額(障害等級に応じ上限あり)
障害等級 支給額  (それぞれ200日きざみ)
第1級 給付基礎日額の200日分〜1,200日分又は1,340日分
第2級 給付基礎日額の200日分〜1,000日分又は1,190日分
第7級 給付基礎日額の200日分〜400日分又は560日分
    ※主要な部分のみ掲載
■ 請求の例外
   傷害補償年金の支給決定の通知があった翌日から起算して1年を経過する日までの間は、傷害補償年金の請求
  の後でもよい。
■ 傷害補償年金の支給停止
   傷害補償年金前払一時金が支給される場合には、傷害補償年金は、各月に支給されるべき額の合計額が、当該
  前払一時金の額に達するまでの間支給停止される。


◆ 障害補償年金差額一時金 (法附則58条)
 障害補償年金を受ける権利を有する者が死亡した場合に、その者に支給された障害補償年金の額及び障害補償年金前払一時金の額の合計額が次の表の障害等級によって定められた一定額に満たないときは、その者の遺族に対し、その請求に基づき、その差額に相当する額の障害補償年金差額一時金が支給される。
障害等級 支  給  額
第1級 給付基礎日額の    1,340分
第2級 給付基礎日額の    1,190分
第3級 給付基礎日額の      560分
                ※主要な部分のみ掲載

■ 受給資格者
順  位
労働者の死亡当時、その者と
生計を同じくしていた
配偶者 1
2
父母 3
4
祖父母 5
兄弟姉妹 6
労働者の死亡当時、その者と
生計を同じくしていなかった
配偶者 7
8
父母 9
10
祖父母 11
兄弟姉妹 12

   最先順位の遺族が2人以上いるときは、そのすべての者が受給権者であり、各人には、所定の金額を人数で
  割った額が支給される。この場合、原則として受給権者のうちの一人を請求及び受領の代表者に選任しなけれ
  ばならない。
   ただし、傷害補償年金の受給権者を故意に死亡させた者は一時金を受ける遺族とはならない。



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