ウェブテキスト 労災保険法番外
業務災害と通勤災害
労働基準法1

労災保険法12・3・4・5・番外(業務災害と通勤災害)
法令参照(総務省e-Gov)

◆ 業務災害


◆ 通勤災害
 通勤災害とは、労災保険法第7条第1項第2号に、「労働者の通勤による負傷、疾病、障害または死亡」をいうと定めており、ここにいう「通勤」とは同条第2項に「労働者が、就業に関し、住居と就業の場所との間を、合理的な経路及び方法により往復することをいい、業務の性質を有するものを除くものとする」とし、同条第3項に、「労働者が、前項の往復の経路を逸脱し、又は同項の往復を中断した場合においては、当該逸脱又は中断の間及びその後の同項の往復は、第1項第2号の通勤としないとされている。
 ただし、当該逸脱又は中断が、日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合は、当該逸脱又は中断の間を除き、この限りでない」とそれぞれ定めている。
 よって、通勤災害と認められるためには、第1に労災保険法に定める通勤の途上での災害であることが必要となり、第2に災害が通勤によるものと認められることが必要となる。
■ 通勤災害の認定 通勤と災害との間に相当因果関係があること
通勤遂行性
・ 労働者であること。
・住居と就業の場所を始点又は終点とする往復行為であること。
・往復行為が業務に就くため、又は業務を終えたことにより行われるもの、すなわち、「就業に関し」行われるものであること。
・往復行為が社会通念から見て、「合理的な経路及び方法」により行われるものであること。
・往復行為が、映画鑑賞やバー、キャバレーでの飲酒等の「逸脱又は中断」のないものであること。
・往復行為が出張等の「業務の性質を有するもの」でないこと。
通勤起因性
・通勤がなければ当該災害を被らなかったであろうという条件関係の存在が必要
・前述の条件関係を前提として、通勤が当該災害の発生について相対的に有力な原因であると認められなければならない。
■ 通勤の定義(7-2) 労働者が、就業に関し住居と就業の場所との間を、合理的な経路及び方法により往復することをいい、業務の性質を有するものを除くものとする。

就業に関し
 往復行為が業務に就くため又は業務を終えたことにより行われるものであることを必要とする趣旨を示すものである。つまり、通勤と認められるには、往復行為が業務と密接な関連を持って行われることを要する。
 労働者が、被災当日において業務に従事することになっていたか否か、又は現実に業務に従事したか否かが問題となり、所定の就業日に所定の就業場所で所定の作業を行うことが業務である。また、事業主の命令によって物品を届けにいく場合にも業務となる。また、このように本来の業務でなくても、全職員について参加が命じられ、これに参加すると出勤扱いとされるような会社主催の行事に参加する場合等は業務と認められる。さらに、事業主の命令を受けて得意先を接待し、あるいは、得意先との打合せに出席するような場合も、業務となる。
 逆に、休日に会社の運動施設を利用する場合はもとより、会社主催ではあるが参加するか否かが労働者の任意とされているような行事に参加するような場合には業務とならない。ただし、そのような会社のレクリエーション行事であっても、厚生課員等が仕事としてその行事の運営にあたる場合には当然業務となる。
 また、事業主の命令によって労働者が拘束されないような同僚と懇親会、同僚の送別会への参加等も、業務とはならない。さらに、労働者が労働組合大会に出席するような場合は、労働組合に雇用されていると認められる専従役職員については就業との関連性が認められるのは当然であるが、一般の組合員については就業との関連性は認められない。

住 居
 住居とは、労働者が居住して日常生活の用に供している家屋等の場所で、本人の就業のための拠点となるところをさす。
 【住居となるもの】
就業の必要性があって、労働者が家族の住む場所と別に就業の場所の近くに単身でアパートを借りたり、下宿をしてそこから通勤しているような場合。
通勤は家族のいる場所から出勤するが、別のアパート等を借りていて、早出や長時間の残業の場合には当該アパートに泊まり、そこから通勤するような場合には、当該家族の住居とアパートの双方が住居と認められる。
長時間の残業や、早出出勤及び新規赴任、転勤のため等の勤務上の事情や、交通ストライキ等交通事情、台風などの自然現象等の不可抗力的な事情により、一時的に通常の住居以外の場所に宿泊するような場合には、やむを得ない事情で就業のために一時的に居住の場所を移していると認められるので、当該場所は住居と認められる。
 【住居とならないもの】
友人宅で麻雀をし、翌朝そこから直接出勤する場合等

 住居と通勤経路の境界については、一般公衆が自由に通行できるかどうかなどにより判断され、通常は門又は外戸が境界とみなされることになる。したがって、一戸建ての屋敷構えの住居にあっては、門、門扉又はこれに類する地点が境界であり、マンションやアパート等についても、通常は、各個人所有の部屋の外戸が通勤経路との境界となる。

単身赴任者等の住居
 単身赴任者等が就業の場所と家族の住む自宅との間を往復する場所において、当該往復行為に反復・継続性(概ね毎月1回以上)が認められるときは、住居として取り扱われる。

就業の場所
 業務を開始し、又は終了する場所をいう。
 【具体的な就業の場所】
本来の業務を行う場所
物品を得意先に届けてその届け先から直接帰宅する場合の物品の届け先
全員参加で出勤扱いとなる会社主催の運動会の会場等
「就業の場所」か「通勤経路」かは、その地点が事業主の支配管理下にある場所か否か、一般の人が自由に通行することができる場所かどうかにより判断することになる。

合理的な経路及び方法
 合理的な経路
乗車定期券に表示され、あるいは、会社に届け出ているような鉄道、バス等の通常利用する経路及び通常これに代替することが考えられる経路
タクシー等を利用する場合に、通常利用することが考えられる経路が2、3あるような場合の経路
道路工事、デモ行進等当日の交通事情により迂回して取る経路、マイカー通勤者が貸切の車庫を経由して通る経路など、通勤のためにやむを得ずとることとなる経路
他に子供を監護する者がいない共稼労働者などが託児所、親戚等に子供を預けためにとる経路
※特別の合理的な理由もなく著しく遠回りとなるような経路をとる場合には、これは合理的な経路とは認められない。

 
合理的な方法
鉄道、バス等の公共交通機関を利用し、自動車、自転車等を本来の用法に従って使用する場合、徒歩の場合など、通常用いられる交通方法
※免許を一度も取得したことのないようなものが自動車を運転する場合、自動車、自転車等を泥酔して運転するような場合には、合理的な方法と認められない。なお、軽い飲酒運転の場合、単なる免許証不携帯、免許証更新忘れによる無免許運転の場合などは、必ずしも合理性を欠くものとはいえないが、諸般の事情を勘案し、給付の支給制限が行われることがある。

業務の性質を有するもの
業務の性質を有するものは、通勤災害ではなく、業務災害の問題となる。
 通勤災害とならない事例
事業主の提供する専用交通機関を利用してする通勤
突発的事故などによる緊急用務のため、休日又は休暇中に呼出しを受け予定外に緊急出勤する途上で被災したような場合
■ 逸脱・中断(7-3) 労働者が、移動の経路を逸脱し、又は移動を中断した場合においては、当該逸脱又は中断の間及びその後の移動は、通勤としない。ただし、当該逸脱又は中断が、日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合は、当該逸脱又は中断の間を除き、この限りでない。
【原 則】
逸脱・中断の間→通勤としない
その後の移動(往復)→通勤としない
【例 外】
逸脱・中断が、日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により行うための最小限度の場合
逸脱・中断の間→通勤としない
その後の移動(往復)→
通勤とする

日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるもの(則8
@ 日用品の購入その他これに準ずる行為
A 職業訓練、学校教育法第1条 に規定する学校において行われる教育その他これらに準ずる教育訓練であつて職業能力の開発向上に資するものを受ける行為
B 選挙権の行使その他これに準ずる行為
C 病院又は診療所において診察又は治療を受けることその他これに準ずる行為
D 要介護状態にある配偶者、子、父母、配偶者の父母並びに同居し、かつ、扶養している孫、祖父母及び兄弟姉妹の介護(継続的に又は反復して行われるものに限る。)


通勤 逸脱・中断イメージ



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